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J-CTECコラム

建設CADソフトの種類と特徴

職業としてのCADオペレーターに求められるのは、「指定されたCADのソフトを使って、作成・製図を行うこと」です。つまりCADには種類があり、職業として取り組むためには、その機能・用途を正しく理解する必要があります。ここでは、建設業界で多く使われる「JwCAD」「AutoCAD」「T-fas」について、詳細を説明します。

「JwCAD」について

JwCADとは、2次元汎用CAD(建築汎用CADとも言う)のフリーソフトウェアのこと。各ソフトウェア会社が発売するCAD作図ソフトには、十数万円から数十万と価格も幅広いものがありますが、JwCAD は、はじめてCAD作図に挑戦するひとでも手軽に入手、利用できる無料のCADソフトです。建築士が開発に関わっていたという経緯もあり、建築・土木系のCADとしては、AutoCAD LTに次ぐ高いシェアを占めており、中小の建設関連企業で使用される傾向があります。

主な機能・特徴は、「マウスで簡単操作(クロックメニュー)」「日影図作成機能」「2.5D機能」「柱と梁や壁などの包絡処理」「建具や設備などの簡単作図機能」「線種の色や線幅をカスタマイズ」

「フリーソフトウェア(無料)」と聞くと、使ったことがない方には、(有償のものに比べ)機能が少ないのでは? 使いにくいのでは? などと印象を持たれるかもしれませんが、ユーザーの中には「JwCADがいちばん!」という方もいるほど、広く業界に浸透しているソフトです。戸建ての住宅であれば、これさえあれば設計・製図は十分にまかなうことができます。各種学校でも、CADの学習はこのソフトの使用から始めることが多いので、まずは「CADの基本」として押さえておきたいソフトです。

フリーソフトですので、その気になれば今からダウンロードして勉強を始めることも可能。そうした使い勝手のよさも、人気の理由なのかもしれません。

「AutoCAD」について

AutoCADとは、オートデスク株式会社が開発する汎用のCADソフトウェアで、なかでも簡易版で2次元の図面作成に特化した「AutoCAD LT」は建設・土木業界の使われるCADのなかでも、最も高いシェアを占めています。また、3D化が進む建築業界にあって、3次元の図面作成に対応した「AutoCAD」の需要も高まっています。使用する人のスキルにもよりますが、速度・精度に強みがあり、より多くの図面を必要とする高層マンションや大規模施設の設計、また中小企業よりも大規模ゼネコンなどで多く使用される傾向があるようです。

発売元のオートデスク社によればそれぞれの機能は以下のように定義されています。

◆AutoCAD LT

・2D ジオメトリーを作成して編集します。
・テキスト、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈を付けられます。
・リボンやツール パレットをカスタマイズできます。
・PDF ファイルからデータをアタッチして読み込みます。
・DGN ファイルのデータ、Bing マップを共有して、使用できます。

◆AutoCAD

・2D ジオメトリを作成して編集します。
・ソリッド、サーフェス、メッシュ オブジェクトを使用して 3D モデルを作成、編集できます。
・テキスト、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈を付けます。
・リボンやツール パレットをカスタマイズできます。
・アドオン アプリケーションや API を使用してカスタマイズできます。
・オブジェクト データをテーブルに抽出します。
・PDF ファイルからデータをアタッチして読み込みます。
・DGN ファイル、Navisworks、Bing マップのデータを共有して使用できます。

いかがでしょうか。それぞれCADを使ったことがない方にはわからないことも多いかもしれませんが、多機能かつ他のアプリケーションとの互換性の高さも特徴だと言えます。

「T-fas」について

T-fasとは、空調衛生設備や電気設備専用のCADで、もともと大手設備会社により開発をされたもので、これらの設備を手掛ける会社での普及率は7割を超えているとも言われます。空調ダクトや水道の配管、電気の配線などの設計・施工図面を作成するソフトだけに、3次元CADとして「高さ」の概念を備えることで、入り組んだ設計・施工にも対応しスムーズな作図を行うことができます。

高速3D表示、高速視点移動、輪郭や文字などの高精細な3D表現ができる機能を備え、部材や機器との干渉検査や複雑な取り回しなど、顧客との折衝・合意形成が必要なシーンで優れたパフォーマンスを発揮するソフトです。

CADオペレーターの年収はどれくらい?

CADオペレーターは、20代~30代の若手がボリュームゾーンを占めており、平均年収は職場や職種により異なりますが、だいたい300万~400万円と言われています。勤続・経験年数が長いほど収入が高くなる傾向があり、年収500~600万円台の方も珍しくありません。しっかりと実務経験を重ね、建築士や設計士からのオーダーを確実にこなし、人よりも速いペースで図面を仕上げられる。そうした方なら、より高い収入を得ることができそうです。

どうやって学ぶのか

専門学校や社会人向けのスクールでは、CADを専門的に学ぶコース・講座が設けられており、実務経験豊富なエキスパートから座学と実技の両方を通して実践的なCADの使用方法が学べます。それぞれ開発元の異なるソフトウェアですが、どちらかが使えればもう一方にも対応できるというのが業界の定説であり、その考えのもとに「CADが使える方ならOK」といった求人サイトの表記が見られるようです。

とはいえ、それぞれの強みを生かした使用方法がありますので、自分が進みたい道ではどんなCADが使われているのか、しっかりリサーチしたうえで学びたいものです。


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